アジア関連書籍コーナー(ABS)はヴィータウタス・マグヌス大学大学図書館のヴォクロヴァス・ビルジシカ分室(ダウカンタス通り52番)に特設されています。このコーナーはアジア研究プログラムの学部生・大学院生のニーズに応え、大学内でアジア研究に関する資料を体系的に利用できるよう設置されました。

沿革

杉原千畝図書分室はヴィータウタス・マグヌス大学の8つの図書館・分室のうちの一つとして2008年11月に設置されました(公式な開設は2009年10月)。この図書室はアジア研究センターと共に2016年まで日本の外交官・杉原千畝氏が過ごした歴史的建造物の中で運営されていました。

改装のため、2016年夏から杉原図書室の書籍は全て大学図書館の本館に移されました。これにより、それまで別々に管理されていたアジア研究の文献や資料がまとめられ、V.ビルジシカ図書室にあるすべての資料もアジア関連書籍コーナー(ABS)に加わり、利用者は必要な本が見つけやすくなりました。 2016年9月30日にはABSの開設式が行われました。

書籍について

1994年以来、リトアニア人、日本人、アジア諸国の外交官、各種財団(国際交流基金、韓国国際交流財団、日本財団、蒋経国国際学術交流基金会など)から数多くの書籍が寄贈されてきました。 最近は、東アジアの問題について英語で書かれた文献を中心に集めています。

図書室について:

哲学、宗教、社会学、政治学、教育、芸術、歴史などの幅広い分野の専門書や文学作品等の書籍が約7000冊あり、現代の東アジア政治、国際関係、リトアニア経済に関する最大の文献集等も所蔵されています。また、韓国学研究に関する文献の数はバルト諸国最大です。ほとんどの書籍は、VMU図書館のオンラインカタログに登録されています。R. ネイマンタス氏より寄付された多くの書籍の登録も現在準備中です。

学術誌・雑誌には以下のようなものがあります。

Journal of Asian Studies、Acta Orientalia Vilnensia、Rytai-Vakarai、Logos、Regioninės studijos、日文研、にっぽにかリトアニアの著名な作家、ロマルダス・ネイマンタス(Romualdas Neimantas)(1939-2009)が集めたアジアとアフリカ諸国に関する記事集には1万件以上の記事が収められています。リトアニア国内唯一の東洋学の文献資料として、1959 – 2009年の間に綿密に収集されたものです。アフリカ、アラブ諸国、アルメニア、ジョージア、インド、イラン、日本、中国、韓国、トルコおよびその他の東洋諸国に関するリトアニア国内の新聞や雑誌記事の大半を見ることができます。この資料はリトアニアと東洋の国々との関わりや、それらの国々がその時代にリトアニアメディアでどのように捉えられていたのかを分析する研究者にとっては有用なものです。

その他の資料

  • 日本の漫画コーナー(約700冊) – リトアニアの唯一の漫画コレクション。
  • アジアの言語を学ぶための教科書、辞書、用語集、参考書など。
  • DVD、ビデオカセット等の視聴覚資料。資料の多くは韓国と日本の音楽や映画です。

ABSの書架には毎年約740個の書籍や資料が追加されています。現在、27の言語で書かれたさまざまのテーマの本が所蔵されていますが、最も多いのは英語で書かれた人文学の書籍です。

図書館への支援

  • 1994年 客員教授であった小島亮博士がVMU大学図書館へ日本関連書籍を100冊寄贈。蔵書コレクションが始まる。
  • 2005年 在リトアニア日本大使館の金安臨時大使が森鴎外の全集を寄贈。
  • 2007年 この年より国際交流基金(JF)からの書籍の寄贈が行われるようになる。
  • 2008年 9月にJinseok Seo 氏が50冊の書籍と韓国語辞書を寄贈。また、この年以降韓国国際交流財団より毎年本の寄贈を受けている。
  • 2009年 10月に在リトアニア日本大使館がビリニュスブックフェアに展示していた600冊以上の書籍を寄贈。(日本出版協会が文化交流の一環として紹介していたもの)。
  • 2009年~2011年 日本財団より「日本に関する英文図書100冊(100 Books for Understanding Contemporary Japan)」が寄贈される。
  • 2010年 9月に池上嘉彦客員教授が『講談社百科事典(英語版)』などを含む日本文化・言語の研究に関する約50冊の本を寄贈。
  • 2010年 12月に中華人民共和国大使館より中国の文化、歴史、社会問題に関する約500冊の書籍を寄贈される。
  • 2011年以降 台湾の蔣經國基金會から中国・台湾の歴史、政治、経済に関する書籍の寄贈による図書館への支援が続いている。
  • 2011年 10月に在リトアニア日本国大使館より約200冊の書籍を寄贈される。
  • 2011年 11月、東アジア研究の著名な作家、ロマルダス・ネイマンタス(Romualdas Neimantas)氏のアジア・アフリカ諸国の関連書籍(約1500冊)と記事コレクション(10 000件以上)が寄贈される。
  • 2014年 1月、西村康稔内閣府副大臣(当時)が、近代日本の政治、経済、社会に関する書籍200冊を寄贈。
  • 2014年 5月、孔子学院より古典中国研究に関する書籍100冊を寄贈される。
  • 2015年 1月、韓国文学翻訳院(LTI Korea)より韓国語から英語、ロシア語、リトアニア語に翻訳された42冊の韓国文学(詩、フィクション、歴史文学)の書籍を寄贈される。
  • 2015年 5月に立教大学の山田久美子教授が文学、芸術、歴史、社会学等の専門書110冊を寄贈。
  • 2015年 12月、アグネ・ブドリューナイテ(AgnėBudriūnaitė)博士から寄贈された約200冊の書籍が読書室の利用者に向けて紹介される。これらの書籍の寄贈は博士の生前の希望によるもの。コレクションのほとんどは道教、宗教、哲学、文化に関するもの。
  • 2016年 4月、国際交流基金から書籍約150冊分(およそ1万ユーロ相当)の資金提供を受ける。本は2017年4月にセンターに到着。
  • 2016年 10月、韓国国際交流財団の継続的な支援により、書籍200万ウォン相当の提供を受ける。
  • 2016年 12月、蔣經國基金會が図書館資金拡大を承諾。この助成金により3年間で追加される中国研究関連書籍は120冊以上にもなる。

アンドリャウスカス(A. Andrijauskas)博士、櫻井博士、渡辺博士、ミセリューナス(R.Miseliūnas)氏をはじめとする、図書館の拡大に貢献・協力してくださったリトアニア国内外のすべての方々に心より御礼申し上げます。

アジア研究センターは活動の一環としてVMU図書館基金を支援しています。センターの図書室への援助にご興

味をお持ちの方は当センターのアルヴィダス・クンピス(e-mail: arvydas.kumpis@vdu.lt )までご連絡ください。